もの・こと・じょう・ほう

見据えた海は大海原。耳を澄ませば人の声。振り向き様に富士の山。影の先に一輪の花。

For 黒

暗闇を開けたら、いつもの風景だ。
人間の足音で目を覚まし、いつもの電気がついた朝
阿部さんが淡々としゃべってくれる


うなりをあげて動いた塊は短く硬い草を刈る
石膏を磨く白絵の具は香りつきでいつもさわやか
おもりを担いだ棒人間は黒の町へとむかって行った


チョコレートが列を作って走っている
蟻がそれに群がった朝
チョコレートはチョークと銀紙と並んで走り、やがて黒の町へと消えていった


棒人間は坂を上った
冷蔵庫の風を受けながら。


どこかの巣に入った蟻がいる
小さな部屋でなにかをしている。
たまにクッキー見つけてすぐ戻る
向こうに見える人間の部屋から光だけがもれていた。
町はカーテンで暗かった


棒人間は坂をくだり、黒の町から出ようとする


またチョコレートに群がった蟻は
温もりと安心へと帰っていった