もの・こと・じょう・ほう

見据えた海は大海原。耳を澄ませば人の声。振り向き様に富士の山。影の先に一輪の花。

忘れられない出来事

今週のお題


高校3年生の時の話です。
オレは、サッカー部でGKのベンチ温め係でした。
公式戦には1回だけ出たことがありました。


他種の競技からサッカーに転身したため、ヘタレだったから、仕方がないと思います。


最後の大会。負ければ引退という絶対に負けられない試合。
先発で出たGKが試合終了間際で負傷退場。
スコアは同点。そのままPK戦へ。


GKとしてはそれこそ数少ない緊張の場。
そして負傷交代してすぐ。
負ければ引退。
コートは雨でゆるゆる。
言い訳はいくらでもあった。
しかし、そこにいる仲間とまだサッカーをするにはあのボールをゴールの中へ入れないこと。それしかなかった。


一球目。ゴール。
二球目。ゴール。
そして、3球目。キッカーの目線がオレの右を見た。
止めた。
オレは力いっぱいの雄たけびをあげた。


勝った。
もう二度とないあの緊張と後の喜び。
ヘタレでも精一杯やってきた苦労。


二度とは訪れない出来事、だと思う。